福岡大学大学院工学研究科 資源循環・環境工学専攻

添田 研究室


 

 研究分野 


各種産業廃棄物の有効利用


 研究概要 


 我国の産業廃棄物の発生量は年々増加し、環境汚染や最終処分場のひっ迫、廃棄物の不適正処理等は深刻な社会問題となっている。この産業廃棄物の約2割が建設工事に伴い発生した「建設副産物」であり、家庭電化製品やペットボトルと同じように、循環型社会基本法や建設リサイクル法等の法律によってリサイクルが義務付けられている。本研究は、コンクリート塊,溶融スラグおよび都市ゴミ焼却灰など各種産業廃棄物のコンクリート材料としての有効利用の可能性について行っている。

 キーワード 


ごみ焼却灰,溶融スラグ,再生骨材,フライアッシュ,コンクリート用骨材,資源循環




 現在の研究テーマ 1  一般都市ごみ焼却灰のコンクリートへの有効利用に関する研究


【研究内容】 我が国の一般廃棄物や産業廃棄物のほとんどは焼却処理され,その焼却率は約80%と高い割合になっている。その焼却場から排出される焼却残渣は,排ガス処理に伴い発生する「飛灰」とその他の灰が混合された「焼却灰」に分離されて排出されているのが一般的である。焼却灰には炉底(特に,乾燥段階)からの落下灰,ボイラー灰など,有機物,または重金属を多く含み,有効利用には適さないと考えられる灰が混入している。この焼却残渣の有効利用はほとんどなされず,単に,最終処分されているのが現状である。また,平成14年12月より施行されているダイオキシン対策特別措置法の強化に伴って,不適合な廃棄物焼却施設の安全解体ニーズが高まっている。


現在の解体方法では,ダイオキシン類汚染物質を他の処理施設に持ち込んで処理しているため,高い輸送費がかかり且つ二次汚染の予防のための設備も必要なため,かなり費用が高くなり,未解体のまま休止焼却施設を保有している自治体,企業が多数有るのが現状である。このような現状から,本研究では以下の項目について検討を行っている。


(1)今後解体が予定されている焼却施設や休止状態の焼却施設の把握を行うとともに,そこから発生する焼却残渣と発生場所との物理・化学的,鉱物学的な性状を明らかにし,焼却残渣の循環利用(繰り返し利用)に適した焼却残渣と発生場所を明確にする。


(2)焼却残渣の安定化に伴うコンクリート用骨材としての物理特性の把握を行う。


(3)焼却残渣が付着したコンクリート塊を粗骨材としての利用や焼却残渣のみを細骨材として用いる場合のコンクリートの配合設計を行い,フレッシュ性状,強度特性および耐久性に及ぼす影響について明らかにする



 現在の研究テーマ 2  再生骨材の透水性コンクリート舗装への利用に関する研究


【研究内容】建設構造物はそのライフサイクルを概ね60年程度を目安として建造されてきているが,機能上の制約から60年以前にそのサイクルを終える構造物も多いのが現状である。また,戦後に建造された構造物の大部分は,あと10〜30年程度でその寿命を終えることになる。コンクリート廃棄量の予測では,今後40年間に急激に増加し,2040年頃には最大で約4億トン/年に達するとされている。そのため,解体コンクリートを完全にリサイクルする技術の確立が望まれている。本研究では,解体コンクリートから製造される再生粗骨材,再生細骨材および骨材製造時に副産する再生微粉の使用がコンクリートに及ぼす影響を明らかにし,再生骨材の有効利用技術について研究を行う。


 


 利用可能な研究装置・資料等 


散水式円形振動ふるい装置,レーザー解析式粒度分布測定装置,細孔径分布測定装置,中性化促進試験装置,塩水噴霧試験装置,プログラム式蒸気養生装置,凍結融解試験装置,圧縮強度試験装置